私の好きな絵

私は日本画が好きで、狩野永徳、尾形光琳、河合玉堂、横山大観、東山魁夷、平山郁夫画伯などの作品をよく見に行きます。特に東山魁夷画伯は、絵だけでなく、「風景との対話」「唐招提寺への道」などのすぐれた随筆に接し、その生き方、考え方に深い共感をおぼえました。長野の善光寺のそばにある東山魁夷館では、画伯のビデオを見て感動しました。
現在、リトグラフを2点所有しています。1点は「晴れゆく嶺」(1976)で、乗鞍山頂から平湯温泉へと下山する際に霧の中で道を見失い一休みしていたときのこと、一瞬の霧の晴れ間が生じ、生々しい緑の山野が顔を覗かせた。霧の中の死の世界から、生々しい緑の生の世界を見た時の感動的な美しさを絵にしたもの。山が好きな私にとって、見ていて心安らぐ一枚です。

もう1点は「木枯らし舞う」(1997)で亡くなる2年前に描かれたもので、木枯らしの舞う木々の向こうに金色の光が見えている絵です。すでに画伯は聖路加病院へ入院されていて、この絵は病室で描かれたそうです。私がこの絵を見たときに感じたのは、画伯がご自身の死期を悟られたのだなということでした。死への不安や苦しみを全てを受け入れ、穏やかな気持ちに至る道のように見えたのです。自分も晩年、この絵を見てそういう境地に至ることが出来ればいいなと思いました。

 


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