とかじ歯科のコンピュータシステム

とかじ歯科のコンピュータシステム

pc8001.jpg私がパソコンを初めて購入したのは、大学生だった1979年のこと。NECのPC8001という機種でした。キーボード一体型のマシンで、メモリーはたったの32Kバイト、ハードディスクなんてものは無く、5インチの大きなフロッピードライブはありましたが、30万円もしたので、PCからリモートコントロールできるカセットテープレコーダーにプログラムを保存していました。この8001でBASICというプログラム言語を初めて学びました。フリートコマンダーという日米海戦シュミレーションゲームが好きで、これでけっこう遊んだのですが、それに飽きるとプログラムデータを解析し、数値を書き換えて最強の艦隊を作ったりしていました。

pc8801.jpgその後、中古で上位機種の8801を購入。学生でお金がないので、ソフトバンクが出していたOh! PCなどの雑誌に載っているゲームプログラムを入力して遊ぼうとしたのですが、ちょっとしたタイプミスでなかなか動かず、ソフトを作る大変さを思い知りました。でもお陰でキーボード入力はかなり上達しました。
卒後しばらくして、PC9801の互換機であるEPSONのPC386を購入。MS-DOSにはじめてふれました。主に一太郎とロータス1-2-3を使って矯正学会発表の原稿やデーターの統計処理をしていました。
20080324223137_1.jpgそんなときに初めてAppleのPlusというコンピューターに出会ったのです。白黒で画面も9インチと小さかったのですが、そのマシンを初めてさわったときの衝撃は今でも覚えています。それまでは文字をタイプすることで動かしていたコンピューターが、マウスでアイコンをクリックすることで動く、紙に書くように画面に絵が描ける、どれもが衝撃的でした。

Hypercard.jpgそして、何よりもすごいと思ったのが、ハイパーカードでした。ハイパーカードは、アップル社のビル・アトキンソンが中心になって1987年に開発されたプ ログラミングソフトで、「カード」を中心としたビジュアルな環境をベースに、誰もが簡単な作品(スタック)を作ることができるような、柔軟でかつ強 力なシステムでした。

20080324223137.jpg当時、私は開業に先立って、自院の矯正の分析ソフトを作りたいと考えていたのですが、(そのころ矯正の分析ソフトは100万円以上もしていた)ハイパーカードならば、その夢を叶えてくれるのではないかと思いました。中古のPlusを購入、その後アルバイト代のほとんどをつぎ込んでMacintosh IIを購入しました。
20080325003258.jpg矯正の分析ソフトを作るのは簡単ではありませんでした。私が行う矯正の分析には顔面の骨格形態を分析するセファロ分析と、歯型を分析する模型分析があります。セファロ分析はレントゲン写真からデジタイザという座標を読み取る機械で、計測点の座標を入力、そのデーターを元に計測結果を計算して出します。
HyperBASIC_02.jpg幸いこちらのほうは入力ソフトとしてハイパーカードで作られたものがついているデジタイザを発見、計算式をHyperBASICというソフトを使って、XCMDを書いて作ることが出来ました。困ったのは模型分析です。デジタルノギスからの数値をハイパーカードに取り込む方法がわからず、制作は暗礁に乗り上げました。
20080326001534.jpgそんな時に助けてくれたのが、当時まだ少なかったマックユーザーの仲間でした。仲間といっても、マックユーザーの集まる草の根ネットです。まだインターネットがない時代ですから、ダイヤルアップでホストにつないでいたころです。通信速度も2400bpsで当然掲示板主体の通信です。
20080326001533.jpgそのネットで知り合ったある人が、ハイパーカードでの外部データ通信のプログラムを書いてくれたお陰で分析ソフトを完成することが出来ました。
20080326001534_1.jpgこうしてとかじ歯科の矯正分析ソフトは完成しました。今でも現役で使っています。
20080324230218_1.jpg医院を開業するにあたって他にもマックでやりたいことがありました。一つは患者さんの口腔内の画像をパソコンに取り込んで、説明するシステムを作ること。もう一つは患者さんのデーターベース、日計表、リコールシステムを作ることです。説明用のシステムは、インサイドマッキントッシュというマックプログラマーのバイブルを書いた小池さんがつくったカラーマジシャンとグランミューゼというソフトを使って作ろうと思っていました。
しかしマイクロビデオカメラの価格が高価だったため、画像を取り込む部分は実現できませんでした。もっぱら写真や絵を取り込んだものを使って説明用に使っていました。データーベース、日計表、リコールシステムはファイルメーカーというソフトを使って作りました。
20070927211831.jpg究極的には4Dというソフトを使って、プラネットのデンタルXのようなものを作ることを目指していたのですが、とてもそこまでは出来ませんでした。デンタル7を初めて見たときに、自分の作りたかったのはこれだと思いました。そして作者があの小池さんだと知って、すぐに購入を決めたのです。
quadra700a.jpg残念ながらハイパーカードはOS Xでは動きません。ですので、今もって歯科のマシンはQuadra700が現役で動いています。デンタルXを動かしているPowerBookG4のみがOS X、残りのマシンのOSはSystem9とSystem7です。自分の作ったソフトですから一切の無駄な機能がありませんし、愛着もあります。これから先もたぶん、自分はこれを使い続けていくと思います。

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