透明標本

透明標本

今回の東京ミネラルショーではいつもは見慣れない、変わったブースがあった。今静かなブームとなりつつある透明標本の展示販売ブースである。その美しい標本の数々をおさめた写真集がヒットしたため、本屋で見てその存在は前から知っていた。蛍光灯のついた陳列ケースに並べられている実物を見ると、やはりその美しさに驚嘆せずにはいられず、思わず子供のお土産にと購入してしまった。(実は自分が欲しかったのだが…)

IMG_1065.jpgIMG_0983.jpgIMG_1119.jpgIMG_1070.jpg
購入したのは上のスルメイカとイソバテングというカサゴの一種の幼魚の標本だ。(標本の大きさは、それぞれ6cmと3cm)
透明標本は、ホルマリンで固定した後に、骨は赤、軟骨を青く染色し、筋肉を透明化して作る。その作り方を詳しくのべると、以下のようになる。

1)骨格を薬品で染める。
アルシアンブルーは、軟骨の成分である硫酸コンドロイチンと化学反応して骨を青く、アリザリンレッドSは硬骨の成分であるリン酸カルシウムを赤く染める。

2)筋肉を透明化する
トリプシンというたんぱく質分解酵素に標本を浸す。はじめにホルマリンに浸しておくことで、たんぱく質をつくるアミノ酸の分子同士が「架橋」という化学反応を起こすため、酵素に浸しても、アミノ酸のつながりが残る。そのつながりのすき間に水が入り込み、筋肉や内臓の部分が透明に見えてくる。

3)標本を保存のためグリセリンに浸すと、水分がグリセリンに置き換わり、さらに透明度が高まる。

どれくらい保存できるのかは不明だが、少なくとも数年はもつらしい。その制作には短いものでも数ヶ月というきわめて長い時間がかかるようだ。

ご案内